学生さんに、顕在的問題と潜在的問題がよく区別できないと言われたので、ここでも説明をしておくとよいのかと思いまとめてみました。
今回のこの話は、看護過程の中で出てくる困り事です。
看護過程では、情報を整理し、問題の明確化を行った際、問題が顕在的か潜在的かに分けて考えることが必要になってきます。
顕在的問題と潜在的問題については以下のように定義されています。
『顕在的問題』
今、実在する問題のこと
『潜在的問題』
おこる可能性のある問題のこと
顕在的問題と潜在的問題の混在が学生さんに見られる問題には次のようなものがよくみられます。
よくある問題が、「#褥瘡発生のリスク状態」のように今は褥瘡が発生していないけど、発生する危険がありますよ~という問題についてどちらに分類したらいいのかわからなくなったり、「#転倒・転落のリスク状態」のように転倒は起こしていないけど、転倒する危険が高いですよといったことについても
「今問題意識があるから介入しているんじゃないですか?」と質問されることがあります。「介入しているということは、顕在的な問題なのではないでしょうか?」といわれることもあります。
ここで大切なのは、看護師の役割についての認識です。
では看護師の業務の定義について確認してみましょう。
アメリカ看護師協会の定義では、
「看護とは、現にある、あるいはこれから起こるであろう健康問題に対する人間の反応を判断し、かつそれに対処することである」(井上幸子:看護学大系第1巻 看護とは〔1〕第2版、p8、1995、日本看護協会出版会)と明記しています。
つまり、看護師の仕事は顕在する問題に介入し、改善することを目指し、さらに、潜在する問題に対しては発生の予防を行うことを使命としています。(現在ではウェルネス型という考え方もあり、その人が持つ強みを活かし、さらに今より健康的な生活を送れるように介入することもあります)
そのため、介入を考えたとき、発生している問題に対して介入しているのか、予防的な介入をしているのかを考えるとはっきりと分けられると思います。
よくある問題としてはこんなのはどちらに当てはまるでしょうか。
「#膀胱留置カテーテルによる尿路感染症発生のリスク状態」
留置カテーテルを使用している場合、多くの病院で陰部洗浄を行っていると思います。そのため、介入を積極的に行っていますが、あくまでも「リスク」があるだけで、問題は発生していません。
以上のことからこの問題は「潜在的な問題」として扱われるわけです。
どうでしょうか? なんとなくでも分かりましたでしょうか?
もっとわかりやすい説明が思いついたら改めて修正します。
もし、この辺がわからないということがありましたら質問いただけると嬉しいです。
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