急性膵炎について
急性膵炎の本態は、アルコールや胆石症などが原因となり、膵内で膵酵素(トリプシン)が活性化し、引き起こされる「膵酵素の自己消化」です。炎症が膵周囲にとどまる軽~中等症から、遠隔の重要臓器(肺・腎・心など)障害をもたらし、多臓器不全から死にいたる重症まで、その程度はさまざまです。
急性膵炎に伴う全身反応は、敗血症や火傷と同様に炎症による全身炎症性反応症候群(SIRS)に基づく病態とされています。
アルコール性膵炎
アルコールは、膵の外分泌亢進、Oddi括約筋の収縮などにより膵管内圧を上昇させるとともに、直接膵組織を委縮させることで膵炎の引き金となる。
胆石性膵炎
胆石が総胆管から十二指腸に排出される際、総胆管と膵管を閉塞することによって引き起こされると考えられている。胆汁うっ滞(閉塞性黄疸)の所見を認めることが多い。胆管炎を併発することもある。
急性膵炎の発生頻度
男女比 2.2:1
男性の方が発生頻度は高い。
ピークは男性で50歳代、女性では70歳代
成因は
・アルコール性:37.3%
・胆石性:23.8%
アルコールによって発生するのが最も多いです!
急性膵炎の症状
・心窩部~背部の持続性の腹痛、悪心、嘔吐、発熱
のたうち回るほどの痛みがあるとのことで、到底我慢できるような痛みではないです。
・血清・尿中アミラーゼ:↑
・血清リパーゼ:↑
・血清エステラーゼ:↑
・Ht:↓
・WBC:↑
・BUN:↑
・血糖値:↑
・LHD:↑ など
急性膵炎の臨床診断基準
1)上腹部に急性腹痛発作と圧痛がある。
2)血中、または尿中に膵酵素の上昇がある。
3)超音波、CTまたはMRIで急性膵炎に伴う所見がある。
・上記3項目中2項目を満たし、他膵疾患および急性腹症を除外したものを急性膵炎と診断する。ただし、慢性膵炎の急性発症は急性膵炎を含める。膵酵素は膵特異性の高いもの(膵アミラーゼ、リパーゼなど)を測定することが望ましい
急性膵炎の重症度判定基準
1.BE ≦ -3mEq/l または ショック
2.PaO2 ≦ 60 mmHg(room air:酸素投与なし)または 呼吸不全
3.BUN ≧ 40㎎/dl(または Cr≧2.0㎎/dl)または乏尿
4.LDH ≧ 基準値上限の2倍
5.血小板 ≦ 10万/㎜3
6.総 Ca 値 ≦ 7.5㎎/dl
7.CRP ≦ 15㎎/dl
8.SIRS診断基準における陽性項目数 ≧ 3
9.年齢 ≧ 70歳
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