看護師が知っておきたい薬のこと

看護のこと

薬が効く仕組み(薬理作用)

 薬がからだに及ぼす作用を薬理作用といいます。その仕組みにはいくつかのパターンがあります。薬の化学・物理的性質によって作用するもの(化学的性質:制吐剤、物理的性質:塩類下剤など)、化学反応を助ける酵素のはたらきを妨げて作用するもの(アスピリンなど)、物質を細胞に取り込むイオンチャンネルに作用して効果を現すもの(カルシウム拮抗薬など)、からだの代謝にかかわる物質と拮抗することでその作用を発揮できないようにするもの(代謝拮抗薬)、細胞膜の表面に存在するたんぱく質である受容体(レセプター)を介して効果を現すものなどがあります。

吸収・分布・代謝・排泄について

お酒を飲むと顔が赤くなったり気分がよくなったりしますが、時間が経つと良いが覚めて普段の状態に戻ります。これは血液中のアルコールが肝臓で分解され、腎臓から尿と一緒に排泄されてしまうからです。薬が効くのもこれとおなじような仕組みです。
 薬が体内に吸収され、血液によって全身をめぐり、必要な場所で効果を現します。そして、肝臓で分解され、腎臓などから体外に排出されます。

吸収(Absorption)

 身体を循環している血液に薬物が入ることを吸収といいます。飲み薬は消化管(主に小腸)から取り込まれて血液中に入ります。注射薬は直接血液内に入ります。そのほかに口腔粘膜、鼻粘膜、皮膚、直腸などから吸収される薬もあります。

分布(Distribution)

分布とは、血液中に吸収された薬が、身体の様々な組織に移行することをいいます。血液量や薬のたんぱく結合率などによります。

代謝(Metabolism)

 薬は生体にとって異物であり、人にはこれらを体外に排泄しようとする防御機構が働きます。薬を薬物代謝酵素によって分解し、無害で排泄しやすい形に変えていくのです。これを代謝といいます。代謝は主に肝臓で行われますが、一度にすべてが代謝されるのではなく、少しずつ代謝されていきます。

排泄(Excretion)

 排泄は、薬がそのままの形あるいは代謝された形で尿や糞便などとともに体外に排出されることを言います。唾液、汗、乳汁などにも排泄されますが、最も多いのは尿です。

血中濃度

 薬は「1日3回食後服用、1回1錠」などそれぞれ飲み方が決まっています。これを薬の用法容量といいます。薬によって適切な量と飲み方が異なります。飲み薬は血液中の濃度が一定以上にならないと効果を発揮することができません。1回にの無料や1日に飲む回数は、身体の必要な場所で効果が表れるように調整されています。

 薬は、一定の血中濃度があるときに効果を発現します。それにより低いと効果が表れず、高すぎると副作用を引き起こすなどのおそれがあります(中毒)。薬を飲んでから時間が経つと血中濃度はだんだん下がってきますが、これが下がりきらないうちに次の薬を飲むことによって、血中濃度を一定レベルに保つことができます。したがって、飲む回数は、主にその薬の作用持続時間に決まっています。作用持続時間が短いものほど効き目が早くなってしまうため、飲む回数が多くなります。特に喘息や不整脈の薬などは血中濃度を一定に保つ必要があります。

 飲む時間も生体リズムや患者さんおQOLなどを考慮して決められています。睡眠導入剤や痛み止めなど特定の時間だけ効けばよい薬では、その時間に合わせて用法が決められています。例えば、喘息や狭心症などの明け方の発作を予防するための薬は寝る前に服用します。反対に、身体を動かす日中に効く必要のある高血圧や不整脈の薬の場合、1日1回服用なら朝飲むのが一般的です。

薬剤の種類(薬の形)

 薬には、飲み薬や貼り薬、塗り薬、注射薬などいろいろな形があります。それぞれに特徴があり、目的や患者さんの状態に応じて選択されます。

①飲み薬(内服薬)

口から飲む薬の総称で、錠剤、カプセル剤、粉薬(顆粒剤)、水薬などがあります。胃や腸から吸収される薬は、全身に分布する前に肝臓によって代謝されます。この代謝によって薬効が少し減少してしまいます。このように、分布前に肝臓によって薬剤効果が減少してしまうことを、「初回通過効果」と言います。

錠剤

 飲み薬で最も普及していて、病院で処方される薬の多くが錠剤です。薬の成分に添加物を加え、圧縮して固形にしたもので、飲みやすくするために糖衣錠、フィルムコート上、腸溶錠などの加工をしています。服用量が正確にわかり保存法も簡単で、飲みやすいというメリットがあります。

 しかし、錠剤はまず胃で分解され粉状になって小腸へと送られ、そこで小腸の水分と混ざり合って初めて腸の粘膜から吸収されるので、吸収されるスピードが粉薬に比べて遅いのが欠点です。

カプセル錠

薬をゼラチンのカプセルに入れたもので、粉薬や顆粒剤が入っていて外すことのできる硬カプセルと中が液状の薬で外すことのできない軟カプセルがあります。

粉薬/ドライシロップ(小児用顆粒)

 粉薬は粒の大きさによって、散剤<細粒剤<顆粒剤の3つに分けられます。吸収に優れていて効き目が速いのが粉薬の大きなメリットです。

ドライシロップ(小児用顆粒)は、水に溶かすと甘い味のするシロップになります。水に溶かすと徐々に効果が落ちてしまうことが多いので、飲むときに1回分ずつ溶かして使用します。子どもが飲みやすいように果物などの味や香りがつけられています。

水薬

薬を水やアルコールで溶かしたものです。代表的な水薬である子ども用のシロップ剤には甘い味や香りがつけられています。服用時に良く振って混ぜ、の無料をほかの容器に移して飲みます。

 この工夫のおかげで私の子どもたちも薬を飲むのを嫌がるどころか、飲ませてというほどでした。甘くておいしいらしいので、子どもの手の届くところには絶対に置かないようにしなきゃですね。子どもが薬を飲まないのは親にとって結構な悩みになりますので、子どもがニコニコと薬を飲んでくれると本当にほっとしますね。本人が好んで飲むような工夫は大切ですね。良薬口に苦し、でも、苦いから体にいいんじゃなくて、継続して飲むから効果があるんですよ。

②外用薬

飲まない薬「外用薬」は聞かせたい場所に直接投与するので、飲み薬より効き目が早く現れ、副作用が少ないのが特徴になります。

点眼薬

眼の表面だけに効くものと、角膜などから眼球にまで入って効き目を現すものがあります。

坐薬

薬の成分をロケット状にした薬で、おしり(肛門)から直腸に入れて使います。体温で溶けるように作られているので、保存は冷蔵庫でします。

 患部に直接はたらくタイプと、解熱鎮痛剤のように全身の治療薬として使われるタイプがあります。効き目を早く得たい場合や自分で薬を飲むことができない人、胃が弱い人などには便利な剤型です。また、女性の膣炎や避妊の薬として膣に挿入する膣坐薬もあります。

塗り薬

塗り薬には大きく分けて、粘度の高い順から、軟膏、クリーム、ローションの3つの剤形があります。軟膏は透明で油っぽく、クリームは白くてさらっとしていて、ローションは液状です。クリームは皮膚が乾燥しているところや汗が多く出る部位に適しており、軟膏は乾燥したところとじくじくしたところの両方に使います。ローションは、頭皮やつめの中など軟膏やクリームが届きにくい場所に適しています。塗り薬は副作用が少ないですが、深部までは成分が届かないという欠点があります。

湿布薬

皮膚に直接貼り、皮膚表面から薬が吸収されます。血液の循環を良くする「温感湿布」と、鎮痛・消炎薬を含む「冷感湿布」に分けられます。フェルトの布に薬剤を集めに塗ったパップ剤と、ポリエチレンフィルムなどに薬剤を粘着剤と一緒に薄く塗ったテープ剤があります。

貼付薬

皮膚に直接貼り、皮膚表面から薬が吸収されます。湿布薬と違い、薬は皮膚表面から血液中に吸収されて全身作用を現します。肝臓を通らないので代謝で壊れていないほか、内服ができない人にも使うことができます。

吸入薬

専用の機器を使ってガス状、粉状の薬を口から吸いこむもので、喘息やCOPD(慢性閉塞性肺疾患)の治療によく使用されています。薬が霧状になって出てくるネブライザーと1回押すと定量の薬が出てくる定量噴霧器があります。

③注射薬

 注射薬は注射針やカテーテルを使って身体に直接投与されます。「吸収」の過程が必要ないため、効果は早く確実です。一方で、投与を間違えば、内服薬のように胃洗浄などの対処法がない危険な剤型でもあります。

 投与方法は、皮内注射、皮下注射、筋肉注射、静脈注射、点滴静脈注射などがあります。

アンプルガラスやプラスチックの容器に入った薬で、首がくびれた特徴のある形をしています。くびれのところにある●印を上にして折ると、パキッと首が取れるようになっています。中の薬は注射器で吸い上げます。薬が粉状の場合は、はじめに溶解液を入れて溶かしてから注射器で吸い上げます。
バイアル円筒形の容器に入った薬。プラスチックの二をとると、銀色の金具で固定されたゴム栓が現れるので、そこに注射針を刺して薬を吸い上げます。薬が粉状の場合ははじめに溶解液を入れて溶かしてから注射器で吸い上げます。溶解液とバイアルがセットになっていて、隔壁を破ると外の空気や細菌に触れずに溶解できる便利なものもあります。
輸液ボトル(輸液バッグ)ボトルには、ガラスびん、硬質プラスチックボトル、軟式プラスチックボトル(ソフトバッグ)などの種類があります。主に薬の容量が少ないものには硬質プラスチック、大きなものには軟質プラスチックが使われています。破損しにくく軽いなどの利点があるので現在はプラスチック容器が増えています。また、中心静脈から栄養を補給する高カロリー輸液では糖質とアミノ酸液を混ざて使いますが、時間がたつと化学反応を起こし変色してしまうので、隔壁で分けておき使用する直前に開通混合して用いる二層バッグが用いられます。

服用時間

起床時起きてすぐの時間をさします。起床時は胃の中に食物がない空腹の状態です。食事や水以外の飲み物の影響で吸収が悪くなる薬などが当てはまります。
 例)骨粗鬆症薬など
食前食事の30分前をさします。
食後に飲んだのでは効果を期待できない薬は食前に服用します。
例)漢方薬
食直前食事の直前をさします。
目安としては、食事を口にする前に飲むぐらい直前です。
例)インスリン製剤
食後食事のあと30分以内をさします。
飲み忘れが少なく、胃に食物が残っていて胃が荒れるのを防ぐことができるなどの理由から、多くの薬が食後服用となっています。
食間食事と食事の間のことで、食後2時間くらいをさします。
「食事中」という意味ではないので注意が必要です。
就寝前就寝の15~30分以内をさします。
睡眠薬の場合、効果が現れるのに、早くて15分くらいかかります。

注意が必要な患者

高齢者

 肝臓や腎臓の機能が低下しているため、薬の代謝や排泄が遅れて薬が強く作用したり、体内に長く蓄積することがあります。また、何種類もの薬を併用していることが多く、相互作用の問題もあるので注意が必要です。肝臓や腎臓の状態に合わせて量を調整することが必要になります。

 高齢者は特にこのことから多剤によって害を及ぼすことがあり、ポリファーマシーと呼ばれ、減薬に努める必要があります。

妊婦、授乳婦

 おなかの胎児に奇形を作る作用のことを「催奇形性」や「催奇性」といいます。また、胎児の発育や機能に悪い影響を及ぼすことを「胎児毒性」と言います。妊娠中の薬の危険度にはいくつかの要因が関係していますが、特に重要なのが「薬危険度」と「使用時期」です。同じ薬でも、時期によって危険度がまったく違ってきます。

 また、母親が飲んだ薬のほとんどは母乳の中に分泌されますが、一派にその量は母親が飲んだ量の1%以下という極めて微量であるといわれています。妊娠中同様、授乳についても「薬危険度」から判断します。

小児

 小児は肝臓や腎臓の機能が未発達です。また、新生児は薬が脳へ移行しやすいので服用量を間違えると中毒の危険があります。小児量は成人量を超えることはないということも重要なことなので覚えておくといいですよ。mgとmlの間違えて過量投与とならないように指示受けはしっかりと単位を控えておきましょう!

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