服薬指導の基本
服薬指導は、以下にあげた基本項目と患者背景をふまえていきます。患者さんごとに背景は様々ですので、それぞれの患者さんに合わせて適切な指導をします。また、薬剤師さんとの協働も重要です。
基本項目
- 薬の名称
- 薬の効果、効能
- 服薬上の注意点
- 服薬忘れ、過量服薬時の対処法
- 副作用の初期症状と発現時の対処法
患者背景
- 小児
- 高齢者
- 妊婦・授乳婦
- 視力・張力の低下、障害
- ライフスタイル(勤務体制、居住形態など)
- 嗜好(タバコ、アルコール)
服薬指導のポイント
1.疾患についての理解を確認する
自分の疾患について正しく理解している患者さんは多くはありません。なぜその疾患がおこるのか、どのような症状が考えられるのかなど、可能な範囲で疾患の病態生理を伝えることで、確実な地y労につなげることができます。患者さんの疾患に対する理解度を確認し、向き合えるような声掛けをしていくといいですね。丁寧に説明し、理解していただくことで意識付けになります。
2.薬物療法の必要性を伝え、服薬コンプライアンスの維持を図る
薬物療法では、処方された薬剤を規定を守って服用すること(服薬コンプライアンス)が大切ですが、このコンプライアンスが維持できない患者さんも多くいます。例えば、高血圧の患者さんは、高血圧自体は無症状であることが多いため、治療への意欲を保てず、薬物療法から離脱してしまいがちです。薬物療法継続の必要性や薬効、使用上の注意点、飲み忘れた場合の対処などを正しく理解してもらい、自己判断で服用を中止したり、減量したりしないように指導しましょう。
3.服薬の理解度に合わせた工夫をする
患者さんの理解度に合わせて、薬を一包化する、服用時期を薬袋に大きな文字で書く、線を書く、服用する時間や日付を記入する手帳やカレンダーを利用する、など工夫することが大切です。身近にキーパーソンを見つけ、自然に服薬に協力してもらえるようにすることも服薬指導では重要なポイントです。
4.繰り返し説明する
特に高齢患者さんは一度の説明ですべてを理解することが難しいようです。十分に時間をとり、間を置いたり、少し表現を変えたりしながら繰り返し説明します。
5.パンフレットや説明書を渡す
口頭で説明しただけでは、患者さんはその時はわかったつもりでも時間が経つとわからなくなることがあります。患者さんが後から説明内容を確認できるようなパンフレットや説明書を渡します。既成のパンフレットでも十分ですが、重要なポイントを抜粋した手作りのパンフレットも喜ばれます。その際はイラストや図表を入れて「わかりやすく、伝わりやすい」ものを作成することを心掛けましょう。
6.副作用に対する説明とチェックを行う
薬物療法においては、どうしても副作用が発現する可能性があります。起こりうる副作用を事前に説明しておけば、患者さんの適切な対処や、服薬コンプライアンスの維持も期待できます。副作用について、起こりやすい時期、症状、対処法などを理解できるように説明しましょう。特に初期症状に気をつけるよう指導することが大切です。また、日常的な体調変化でも起こりうる症状であれば、患者さんが副作用とは思わず見逃してしまう場合もあります。定期的に副作用のチェックを行うことも、適切な薬物療法の継続につながります。
7.その他
そのほか、以下の点にも注意しましょう。
- 専門用語を避け、患者さんにわかりやすい表現を使う。
- 患者さんの表情、反応などから理解度を確認しながら説明する。
- 患者さんの声をしっかり聞き、疑問に思って居ること、気になることがないか、その都度尋ねる。
- 何かあればすぐ連絡してもらうなど、その後の受け入れ態勢を明示しておく。
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