【第110回:午後94・95・96問】Aさん(47歳、女性、会社員)は、夫(54歳)と2人暮らし。6か月前から月経不順になり、閉経前の症状と思い様子をみていた。しかし、徐々に普段の月経時の出血量よりも多くなり、下腹部痛が出現してきたため、病院の婦人科外来を受診した。診察後、経膣超音波検査の指示が出され、看護師はAさんに検査について説明することになった。

【問題94】 Aさん(47歳、女性、会社員)は、夫(54歳)と2人暮らし。6か月前から月経不順になり、閉経前の症状と思い様子をみていた。しかし、徐々に普段の月経時の出血量よりも多くなり、下腹部痛が出現してきたため、病院の婦人科外来を受診した。診察後、経膣超音波検査の指示が出され、看護師はAさんに検査について説明することになった。

Aさんへの経膣超音波検査の説明で正しいのはどれか。

1.検査が終了するまで絶飲食にする。
2.検査前に排尿するよう促す。
3.検査は側臥位で行う。
4.検査後1時間は安静にする。

【解答】2
–––––––––––
【解説】

1:消化管検査とは違い、特別な理由がない限り、検査前の禁食は不要です。

2:経腹超音波検査は、排尿をがまんして膀胱に尿をためておかないと、後方にある子宮が見えにくいため、膀胱内に尿が溜まった状態で検査を行いますが、経膣超音波検査では観察したい臓器(子宮、卵巣、卵管)までの距離が近く鮮明に子宮や卵巣の状態を観察できるため、排尿後でも検査可能である。よって、検査前に排尿は済ませても問題無いです。

3、4:経膣超音波検査は砕石位で行い、検査後の安静は不要です。

【問題95】 Aさんは、経膣超音波検査で異常所見が認められ、その後の精密検査で子宮体癌と診断されて準広汎子宮全摘出術と両側付属器(卵巣、卵管)切除術を受けた。術後の経過はよく、排尿障害もなく順調に回復していた。術後12日目のバイタルサイン測定時に「身体のほてりがあり、急に汗が出るようになったりして、夜もよく眠れません。そのためかイライラします」と看護師に訴えた。 Aさんに出現している症状の原因はどれか。

1.エストロゲンの減少
2.プロラクチンの減少
3.アンドロゲンの増加
4.オキシトシンの増加
5.プロゲステロンの増加

【解答】1
–––––––––––
【解説】

1:卵巣摘出や放射線治療を行った結果、卵巣機能が低下または喪失する合併症、卵巣欠落症状が出現している。
脳下垂体からの性腺刺激ホルモンが多く出てもエストロゲンの量が増えることはなく、減少してしまう状態であり、更年期障害に似た症状が出現します。具体的にはほてりやのぼせ、頭痛や肩こり、骨粗しょう症などが挙げられます。

2:プロラクチンは母乳の産生に関わるホルモンで、減少すると母乳の量が減ったり、出なくなったりする。

3:アンドロゲンの過剰な作用によってもたらされる疾患に、男性では前立腺肥大、前立腺癌、禿頭など、女性では多毛症、ニキビ、無月経などの婦人科疾患などがあります。アンドロゲンは、女性では主に副腎と卵巣で、男性では副腎と精巣で作られます。卵巣を除去しているのでアンドロゲンの増加は考え難い。

4:オキシトシンは下垂体後葉から分泌されて,子宮の収縮と射乳を引き起こすホルモンです。ギリシャ語で「早い(okys)出産(tokos)」を意味するオキシトシン(Oxytocin)と名づけられました。

5:卵巣から分泌されるエストロゲン(卵胞ホルモン)とプロゲステロン(黄体ホルモン)があるが、通常この両方の女性ホルモンは、加齢や卵巣欠落で減少する。

【問題96】 Aさんはその後、順調に経過し退院した。退院後、初回の外来受診時に看護師がAさんに心配なことを尋ねると「退院のときも性生活の説明を聞きましたが、子宮がなくなって自分の身体がどう変化しているかわからないし、やっぱり性生活のことが気がかりです。夫も私の身体を気遣ってくれて、今日も一緒に病院に来てくれました」と語った。Aさんへの性生活の説明で適切なのはどれか。

1.術後1年までは性行為を控える。
2.夫と別々に説明することを提案する。
3.性行為再開後は避妊を続けてもらう。
4.膣の乾燥に対して潤滑ゼリーを用いるとよい。

【解答】4
–––––––––––
【解説】

1:通常で、性生活の再開は手術後 1 カ月以降と指導することが望ましい。

2:「夫も私の身体を気遣ってくれて、今日も一緒に病院に来てくれました」との発言から、別々に説明する理由は乏しい。

3:準広汎子宮全摘出術と両側付属器(卵巣、卵管)切除術を受けた術後で、避妊を続けてもらう理由は乏しい。

4:広汎子宮全摘術を受けた場合は、少し膣が短くなりますが、体位を工夫することで問題なく性交渉を行うことができます。卵巣を摘出した場合は、潤滑液の分泌がなくなるので、市販されている潤滑剤を利用することが勧められます。性交渉をすることで、再発しやすいなどの報告はない為、腹部の傷が痛まなければ問題ありません。

子宮摘出術後は性交時出血や性交痛が生じることがあるため、退院後は性生活を送るうえでの生活指導が必要となります。性生活は夫婦にとって必要なコミュニケーションになっていることもありますので、とても繊細ではありますが、不安なくいつもの生活、いつもの関係に戻れるようにサポートできるといいですね。

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