医療映画
「ジェネラル・ルージュの凱旋」
物語とポイント
救命救急センターの部長・速水晃一の活躍と彼にかけられた収賄疑惑に関わる謎をテーマに扱った物語です。
みどころはもちろん、収賄疑惑が誰の手によって告発されたのか、そしてなんのために行われたのかを紐解いていく展開でしょう。
しかし、この映画は収賄疑惑のみを抽出した謎解き映画ではなく、「救急診療の崩壊」をテーマにしたところがポイントです。救急診療では、その診療報酬の体制上収益に繋がりにくく、緊急処置ということで診療費を未払いでやり過ごす人も見られます。未払いでも、緊急時は診療を行う義務があり、以前未納であったということがわかると受け入れ拒否するような病院もあるようです。
救急診療は多くの人の命を守り、緊急時でもなんとかしてくれるといった安心感を地域に還元する大きな役割を果たしているのですが、それを維持することは経営上(診療報酬上)難しいようです。(私はあまり経営の部分のには参加していませんので、詳しいことはわからないですが)
こういった映画などの表現を用いて、テーマとすることで一般の人に伝え、改変を求めていくというやり方も、社会を変える力となると感じました。
より多くの人が、安心して過ごせる環境づくりのために、健全な救急診療体制が求められていますね。
<教材として使えるポイント>
映画の最後の方に大規模災害(ショッピングセンターにタンクローリーが炎上して突っ込む)が発生し、病院でトリアージブースをつくり、トリアージをしてくところが「災害時のトリアージ」について学べるポイントだと思います。
トリアージは、より多くの助かる命を助けるために、治療に優先順位をつけていきます。そのため、命に関わる状態であるが、助けることは難しいと判断された場合、「黒」のタグを付け、救命処置を行いません。この「黒」の判断こそが大きな苦悩となってトリアージを行う医療者にのしかかってきます。
今回の作品でも黒と宣告された患者の家族の心理状態や、黒と宣告しなければいけない医療者の苦悩を表現してます。
命の価値は等しく平等であるが故に、1つの尊い命を助ける過程で2つの尊い命が失われることは許されません。冷静に、確実に緊急時に対応できる強い精神力が試される状況だと私は思います。
願わくばトリアージが必要となる状況がないことを願います。
トリアージタグと意味については、下を参考にしてくださいね。
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