【第110回:午前103・104・105問】A君(7歳、男児)は、サッカークラブに所属していない。本日、練習中に転倒して右腕を地面についた後、肘周囲に腫れと強い痛みが生じため、父親と教急外来を受診した。 エックス線撮影の結果、 右側の上腕骨顆上骨折と発断され、非観血的整復とギブス固定が行われることになった。A君は不安な表情で父親と処置室の前で待っている。

A君(7歳、男児)は、サッカークラブに所属していない。本日、練習中に転倒して右腕を地面についた後、肘周囲に腫れと強い痛みが生じため、父親と教急外来を受診した。エックス線撮影の結果、 右側の上腕骨顆上骨折と発断され、非観血的整復とギブス固定が行われることになった。A君は不安な表情で父親と処置室の前で待っている。

【問題103】ギプス固定にあたり、A君への看護師の説明で適切なのはどれか。

1.痛くないことを説明する。
2.すぐ終わることを説明する。
3.ギプスが乾くときに冷たくなると説明する。
4.ギプスに使うものを見せながら説明する。

【解答】4
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【解説】

1:7歳という年齢から、言葉の理解は可能と考えられるので、処置の説明をすることが優先と考える。

2:A君が考えるほどすぐ終わらないので、嘘つき!となり次からケアを受け入れてもらえないばかりか、医療者全体に対する不信感が募り、回復に悪い影響を与える結果になりかねないのでダメですね。命を救うこと場面では、多少の嘘は許される?いや、やっぱり嘘はダメ。信頼第一ですね。

3:ギブスが乾く時には暖かくなりますので誤り。

4:手術後にどのような状態なのかを説明することは適切である(創部、ガーゼ、ギブス、医療機器の装着、痛み止めの方法など)将来に対する不安は皆一緒。大人になると多少の経験があるので想定して我慢しますが、どうなるかわからな過ぎて不安になります。プレパレーションっていいますが、A君がちゃんと理解できるようにかかわることが大切です。

【問題104】A君は、整復術後の経過観察のため1泊入院することになった。整復術後の合併症の観察方法で適切なのはどれか。

1.患側の肩の皮膚色を観察する。
2.患肢の観察は8時間ごとに行う。
3.感覚鈍麻の有無は患肢の手指を触れて観察する。
4.冷感はギプスの中に看護師が手を入れて観察する。

【解答】3
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【解説】

1:上腕骨顆上骨折では、肘関節を中心に上下二関節の固定を行うことが原則であり、通常で合併症は幹部より抹消側に出現するので、肩ではなく抹消側に注意をする。

2:8時間では拘縮が完成してしまうので、幹部の観察は適時行う。

3:上腕骨顆上骨折に伴う合併損傷としては、神経損傷、血管損傷、手指の拘縮を生じるフォルクマン拘縮(Volkmann)に注意して、手指の観察をする必要がある。

4:どうやってギプス内に手を入れられるのかが説明つかないため、正答肢として考え難い。

【問題105】退院時、A君は「明日から学校に行けるかな」と看護師に質問した。看護師は、学校には行けることを伝えた後、学校生活における注意点を説明することにした。A君への説明で適切なのはどれか。

1.「右手の指は使わないでね」
2.「ギプスは濡れても大丈夫だよ」
3.「ギプスをぶつけないようにしてね」
4.「体育の授業は休まなくてもいいよ」

【解答】3
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【解説】

1:固定をしている間も肘以外の指などはこまめに動かし、腕全体に血流が回るようにしなければリハビリ期間が長くなり治りが遅くなります。

2:ギプスを濡らさないこと。ギプスの下の綿は乾きにくい素材ですので、濡らすと皮膚障害を来すことがある為、注意が必要。

3:ギプスをぶつけないようにすることは患肢安静の観点から正しい。

4:術後24時間は患肢の循環状態を特に注意深く観察します。ギプス固定を4週間行ってから、次第に運動を許可します。

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