【第110回:午前112・113・114】Aさん(19歳、男性)は、幼い頃から忘れ物や遅刻が多く、落ち着いて授業を受けることが難しかった。学校からは精神科の受診を勧められていたが、受診することなく高校まで卒業した。卒業後は事務職として働きはじめたが、仕事上のトラブルで上司や同僚から叱責を受けたことをきっかけに、仕事を無断で休むことが多くなった。 産業医から精神科外来を紹介され、両親とともに受診した。本人の診察と両親からの生育歴の聴取が行われ、注意欠如・多動性障害(ADHD)と診断された。

Aさん(19歳、男性)は、幼い頃から忘れ物や遅刻が多く、落ち着いて授業を受けることが難しかった。学校からは精神科の受診を勧められていたが、受診することなく高校まで卒業した。卒業後は事務職として働きはじめたが、仕事上のトラブルで上司や同僚から叱責を受けたことをきっかけに、仕事を無断で休むことが多くなった。産業医から精神科外来を紹介され、両親とともに受診した。本人の診察と両親からの生育歴の聴取が行われ、注意欠如・多動性障害(ADHD)と診断された。

【問題112】職場でAさんにみられる可能性が高い行動はどれか。

1.仕事中に突然意識を失って倒れる。
2.退勤時に戸締りの確認を繰り返す。
3.集中して仕事をすることができない。
4.状況にふさわしくない単語の発声を繰り返す。

【解答】3
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【解説】

1:ADHDの主症状は不注意、多動性、衝動性の3つ。

2:出掛けるときに忘れ物がないか、鍵を閉めたかどうか確認するなどの行為を何度も繰り返して日常生活に支障が出る疾患は、強迫性障害を疑う。

3:ADHDの主症状は不注意、多動性、衝動性の3つ。
仕事への影響では、集中して仕事をすることができない、ケアレスミスが多い、落ち着かない、忘れ物が多い、時間管理が苦手等がある。

4:ADHDの主症状は不注意、多動性、衝動性の3つ。

【問題113】診察後、Aさんの両親は「親としてどうしたら良かったのでしょうか、私たちの育て方に問題があったのでしょうか」と外来看護師に話した。このときのAさんの両親への対応として適切なのはどれか。

1.「Aさんは育てにくいお子さんでしたね」
2.「職場の環境が悪かったことが原因です」
3.「ご両親の育て方が原因ではないと思いますよ」
4.「もっと早くAさんの問題に気が付けばよかったですね」

【解答】3
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【解説】

1:どんな状況でも、悪口になるような言葉は避けることが望ましい。

2:近年の研究でADHDの原因は、脳の器質的・機能的な原因であることがわかってきている。

3:親のこれまでの大変な子育てや苦労に思いをめぐらせ、親を追い詰めない関わりを心掛ける必要がある。

4:どんな状況でも、患者さんやその家族を責めるような言葉は避けることが望ましい。

問題114Aさんは予約した受診日を忘れてしまい、受診できないことが度々あった。Aさんは、これまで忘れないための工夫を何もしてこなかったと外来看護師に話した。Aさんへの対応で最も適切なのはどれか。

1.「ご家族に予定を管理してもらいましょう」
2.「忘れてしまった理由を考えてみましょう」
3.「予定を忘れたことで生じる不利益を整理してみましょう」
4.「今予約した次回の受診日をこの場で予定表に書き込みましょう」

【解答】4
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【解説】

1:ADHDの症状で忘れ物が多い、時間管理が苦手等があるが、まずは本人の工夫を促すことが適切である。

2:忘れてしまう理由を考えても、病気の症状なので意味が無く、正答肢として考え難い。

3:不利益について考えても、病気の症状なので意味が無く、正答肢として考え難い。

4:スケジュール管理について今までなにもしてこなかったとのことであれば、まずは予定表を活用してみる。ADHDとの付き合いには、その人の生活環境を調整し、暮らしやすくなる様に一緒に指導していくことが大切です。忘れ物が多い場合は、スマホのリマインダー機能を使うなどの方法も有効である。

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